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コラム

2025.05.08

ボーリング調査って面白い!安全な暮らしの土台を知るコラム(全5回)

第2回:ボーリング調査の「主役」!「標準貫入試験(N値)」って何?

ボーリング調査で孔を掘ると、地下の地層の様子を見たり、土のサンプルを採ったり、色々な試験をしたりできます。その中でも、ほとんどのボーリング調査で必ずと言っていいほど行われる、とっても重要な試験があります。それが「標準貫入試験」です。そして、この試験で得られるのが「N値(エヌち)」と呼ばれる数値です。

N値は、地盤の硬さや締まり具合を示す、地盤調査では最もポピュラーな指標です。今回は、このN値がどうやって測られるのか、そして何が分かるのかを見ていきましょう!

N値はどうやって測るの?

標準貫入試験は、ボーリングで掘った孔の中で行われます。まず、ボーリングで目的の深さまで掘り進んだら、孔の中に「標準貫入試験用サンプラー」という特殊なパイプの先端を入れます。

例えるなら、材木にクギを打ち込むようなイメージです。このサンプラーを地面に打ち込むのですが、その打ち込み方にユニークなルールがあります。それは…

質量 63.5kgのおもりを、75cmの高さから自由落下させる!

まるで大きなハンマーで上から叩くような感じですね。この方法でサンプラーを地盤に**30cm貫入させるのに、何回おもりを落下させたか(打撃回数)**を数えます。

実は、この30cm貫入させる前に、試験のためにサンプラーをセットした場所の土が、ボーリング作業で少し乱れている可能性があるため、まず「予備打ち」として15cmほど打ち込みます。その後の30cmの本打ちで必要な打撃回数をN値とするんです。N値は、この本打ち30cmに対する打撃回数の整数値です。

N値で何が分かるの?

さて、この打撃回数、つまりN値が分かると、地盤がどれくらい硬いか、あるいは軟らかいか、どれくらい締まっているか(ギュッと詰まっているか)が分かります。

  • N値が大きい → なかなかサンプラーが入っていかない、つまり地盤が硬い、または締まっている
  • N値が小さい → サンプラーがスッと入っていく、つまり地盤が軟らかい、または緩んでいる

N値と地盤の硬さの目安は、土の種類(粘性土か砂や砂礫か)によって少し異なりますが、例えば粘性土の場合、N値が0~2だと「非常に軟らかい」、3~4で「軟らかい」、5~8で「中位」、そして31以上になると「特に硬い」と判定されます。

N値はこんなことに使われる!

N値は、地盤の硬さや締まり具合が分かるため、様々なことに利用されます。

  • 建物を支える地盤として適しているか(支持層の判定)
  • 地盤の強さ(強度)を推定する
  • 地震の時に液状化しやすいかを判断する際の重要な指標の一つになる
  • 杭基礎の場合、杭をどれくらいの深さまで、どれくらいの力で打てばいいか
  • 地下を掘る時、どんな掘削方法が良いか

などなど、本当に幅広い検討にN値が使われているんです。特に液状化に関しては、N値が10よりも小さい砂は液状化しやすい、と言われています。

標準貫入試験は、比較的容易に実施でき、当社でも大阪、関西圏を中心にボーリングデータの蓄積を行っております。

他の様々な地盤の性質や建物の挙動との関係も研究されているため、地盤調査の代表格として大活躍しているんですね。

次回は、ボーリング調査で採取する「土のサンプル」と、それを詳しく調べる「室内土質試験」についてご紹介します。N値だけでは分からない、地盤の「素顔」が見えてきますよ!

蓄積したボーリングデータを問合せしたい方はこちらhttps://www.sanyo-corp510.co.jp/contact/